ネコと上手に付き合う方法
「大翔、突然行っていいのかよ?」
亜璃ちゃんが大翔達のバンド練習を見たいと熱望し、急遽スタジオに行くことになった俺達。
「女子の見学者はいつでも大歓迎!俊は近いうちにうちのメンバーになるから問題なし!」
「おい。」
まだ言ってやがる。
「え?西谷先輩もバンドに入るんですか?」
小乃美ちゃん、何その期待の目…
「いや…」
「入る入る!俊の歌声聴いたら、小乃美ちゃんますます惚れるよ♪」
「わぁ!この間は歌声聴けませんでしたから楽しみです♪」
「大翔くん?」
俺は笑顔で大翔の胸元を掴んだ。
「怖い怖い!笑顔の俊、マジで怖い!」
「西谷先輩は、嫌なんですか?」
「え?」
小乃美ちゃんの問いかけに大翔を掴んでいた手を離す。
「俊は目立つのが嫌いなんだよ。人前で歌うとかあり得ないって。」
「特技があるって、私には羨ましいですけど…本人が嫌なら無理強いはできませんね。」
あぁもう、そんな残念そうな顔しないでよ。
「そうだ俊!せっかくだから一曲だけ歌ってけよ。そしたら次のライブ、タダにしてやってもいいぜ。」
大翔はそう言いながらスタジオの扉を開けた。
いや、俺の誕生日なんだから、そこは始めからタダにしろよ。
…とは、小乃美ちゃんの前では言えねぇな。
「ハァ~。分かったよ…。但し、一曲だけな。」
俺はカバンを置き上着を脱ぐと、大翔達と歌う曲を決め、マイクの前に立った。