ネコと上手に付き合う方法
「やっぱり俊の声はいいなぁ~。なぁ、このままやろうぜ。な?な?」
「しつこい。」
取り敢えずなんとか一曲歌い終わった俺は、大翔達の勧誘を振り切りカバンと上着を取った。
「じゃ、俺はもう帰る。」
用事は済んだし、次のライブ入場料もタダになった。
これ以上ここにいたら、また無理に歌わされるに違いない。
俺は颯爽とスタジオを出ると、
「あ、私も帰ります!ありがとうごさいました。」
小乃美ちゃんは丁寧にお辞儀をして、俺の後を付いてきた。
「西谷先輩、凄いですね。」
二人で歩くのは初めてだ。
「大翔先輩が言った通り、益々惚れました。」
だから、そんな照れながら言うなって!
俺は、全然凄くない。
むしろ卑怯者だ。
君に好きにならないって言っておきながら好きになって、でも言えなくて、君の好意を甘んじて受けている。
さっきだって、君にカッコいいとこ見せたかっただけなんだ。
こんなの、男としてどうなんだよ?