ネコと上手に付き合う方法
「西谷先輩、なんでそんなに疲れてるんですか?」
校門に行くと、真っ先に亜璃ちゃんに突っ込まれた。
「亜璃ちゃん、こいつうざいから早く三人分のライブチケット受け取ってくんない?」
「え!?もしかして大翔先輩、今度のライブ、私達も招待してくれるんですか!?」
亜璃ちゃんは目をキラキラさせながら大翔に迫った。
「う、うん。」
大翔、何キョドってんだよ。
そこはすっと差し出せ!ついでに俺らの分も。
「は、はい。良かったら見に来てよ。」
「わ!やった!大翔先輩、ありがとう!!」
亜璃ちゃんは大翔の手をギュッと握って、チケットを大翔から受け取った。
亜璃ちゃんはスキップでもしそうな勢いで小乃美と歩き出すが、大翔は片手で顔を覆いながらその場に立ち尽くしていた。
大翔…お前は中学生か?
どんだけピュアなんだ。
そんなんじゃ告白なんてままならないんじゃないか?
そんなことを心配しながら、俺は仕方なく、固まっている大翔に声を掛けた。
「な。心配なかったろ?分かったら早く俺達の分も寄越せ。」
すると、大翔は激しく首を縦に振り、
「これもう、OKもらったも同然っしょ!!」
俄然強気になった。
「亜璃ちゃ~ん♡」
いや、チケットを喜んで貰うのと告白をOKするのは全然違うだろ。
というか、俺達の分は……?
そして、走って追いかける大翔に、無情な言葉が振りかかった。
「大翔先輩のバンドのベースの人、凄く格好良かったんだよね~。優しかったし。」
コントのように悲壮感を漂わせて地ベタに手をつく大翔。
亜璃ちゃんは、そんな大翔の様子をチラ見して、楽しそうに笑っていた。
…いたずらっ子じゃねーか。
「ドンマイ。」
俺は大翔の肩に手を置き、右手に握られていた二枚のチケットをすっと抜いて小乃美達の後ろを歩いた。
亜璃ちゃんも意地悪だな。
大翔の気持ち知っててあんなことするなんて。