君のことが、どうしようもなく好きです
響side 1
4月9日、K市立咲坂高校入学式。


「――それでは皆さん、高校生活思いっきり楽しもう‼」


式の最後の生徒会長挨拶が終わり、新入生は皆、南館へ向かう。流れのまま、クラス表を見に行くと、先に着いた同級生の姿でいっぱいになっていた。


今日から高校生活が始まるのだ。香坂 響(こうさか ひびき)は、今度こそ、隣にいる腐れ縁の男とだけは絶対に離れたいと何かに祈りながら、目を凝らしてクラス表を見た。


「響、何組?」


聞いたのは相馬 奏(そうま かなで)。
この男こそ響の幼なじみでもあり、腐れ縁である。


「…3組だ」
「えぇー、また一緒かよぉ」


えぇー、はこっちのセリフだ!と静かに奏を睨む。二人は幼稚園の時からの付き合いだ。家も隣にあり、親同士昔から仲が良い。そして、何故だか小4の頃からはずっと同じクラスで、下手をすれば家族よりも一緒にいる計算になる。
< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop