君のことが、どうしようもなく好きです
「へぇー、奏くんっていうんだ!中学の時何部だったの?」


見ると知らぬ間に奏の周りには女子が集まっていた。奏は昔からモテるほうだ。人懐っこく、ちょっとヌケているからだろう。見てくれも良いほうなので、女子の気をひくことも多い。


「野球部だよ。実はこの響とバッテリーだったんだ。なっ!」


奏が親指で響を指さしたが、響は口パクで「やめろ」と言った。
響は実は女子が苦手だ。奏と違って無口な方で、昔から声を掛けられることも少なかった。どちらかと言うと怖がられるほうである。


中学二年くらいからは、喋りたくても怖がられ、喋られないようになっていた。よく原因が分からないまま、泣かせたこともある。


今はそこまで気にしていないが、響は少しだけ、女子と屈託もなく喋られる奏が羨ましいのだ。


女子なんて意味が分からない、なぜおまえはそこまで平気になれるんだ。


だんだん考えたくなくなり、そっぽを向くように窓の外を見る。
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