君のことが、どうしようもなく好きです
「みんな、今日から僕が担任を受け持つことになりました。中田 浩晃(なかた ひろあき)です。歳は26、国語の担当でもあります。これからよろしく!」


拍手が鳴る。中田先生は照れくさそうに笑った。それから、クラス全員の自己紹介がまどぎわ窓際の列から始まり、何人か終わった後、奏の番が回ってきた。


「相馬 奏です。みんな覚えてね!誕生日は11月11日のO型。中学は野球部でした。これからよろしくな!」


クラスの中には、すでに奏のファンらしき女子もいるようだ。他の男子に比べて若干拍手が大きくなった。


「香坂 響です。1月30日生まれでA型。よろしく。」


言い終わると奏が振り返り、何緊張してんだよ、もうちょっと喋っとけよと口パクで言ってきた。ったく、余計なお世話だ。


奏の隣の女子に順番が回る。そういえば、セミロングって奏の好みだったな。後ろから見ても凄く緊張しているのが分かった。


「ふ、福原 歌子ですっ!誕生日はっ、し、4月23日で、A型です!皆さん、仲良くして下さいっ」


見上げていた視点を前に移すと、案の定奏はその女子、福原をちょっと気にしているようで、でもそっぽを向いていた。


見ると奏の顔が赤い。響は頬がにやつくのを必死で押さえていた。
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