役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
「では、今はアゼルのお兄様がティーザ軍の指揮官を務めているのね」
「ええ。 父が3年前に引退した時に、カイル兄上に指揮官の地位を譲りました。 まだ若かったですが、当時から兄上の剣の腕は国内でも5本の指に入ると言われてましたから、反対する者もいなかったようです」
この国の軍制は、国王指揮下の王軍と各貴族達がそれぞれに持つ貴族軍から成り立っていた。
戦争の際には、貴族軍は王軍の指揮下に入り国王の軍となるが、平時にはそれぞれの領内の警備や大掛かりな工事の指揮官として働いていた。
ティーザ家は元々軍事に秀でた家系で、
初代国王がこのキトニアを建国した際には右腕となって活躍したらしい。
その功績から、かつては名門貴族の一つだったのだが・・・
その後は政治力の無い当主が続き、すっかり権力を失ってしまった。
「権力も財力もないティーザ家ですが、今も軍がそこそこ強い事だけは唯一の自慢です。
父上もああ見えて、若い頃は名将と言われていたんですよ」
エレーナは少しの間考え込んでから、躊躇いがちに口を開いた。
「ーー軍の営所に遊びに行ったら、ダメかしら? 一度、見てみたいわ」
戦時下ならともかく、今は平和そのもの。王女の仰せなら嫌とは言われないだろうが・・・
少し気が重いな。
ミハイル兄上よりはマシとは言え、俺はカイル兄上も苦手だった。
というより、向こうが俺を毛嫌いしているのだ。
「ええ。 父が3年前に引退した時に、カイル兄上に指揮官の地位を譲りました。 まだ若かったですが、当時から兄上の剣の腕は国内でも5本の指に入ると言われてましたから、反対する者もいなかったようです」
この国の軍制は、国王指揮下の王軍と各貴族達がそれぞれに持つ貴族軍から成り立っていた。
戦争の際には、貴族軍は王軍の指揮下に入り国王の軍となるが、平時にはそれぞれの領内の警備や大掛かりな工事の指揮官として働いていた。
ティーザ家は元々軍事に秀でた家系で、
初代国王がこのキトニアを建国した際には右腕となって活躍したらしい。
その功績から、かつては名門貴族の一つだったのだが・・・
その後は政治力の無い当主が続き、すっかり権力を失ってしまった。
「権力も財力もないティーザ家ですが、今も軍がそこそこ強い事だけは唯一の自慢です。
父上もああ見えて、若い頃は名将と言われていたんですよ」
エレーナは少しの間考え込んでから、躊躇いがちに口を開いた。
「ーー軍の営所に遊びに行ったら、ダメかしら? 一度、見てみたいわ」
戦時下ならともかく、今は平和そのもの。王女の仰せなら嫌とは言われないだろうが・・・
少し気が重いな。
ミハイル兄上よりはマシとは言え、俺はカイル兄上も苦手だった。
というより、向こうが俺を毛嫌いしているのだ。