役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
どのくらいの時間、逃げ回っただろうか。
さすがのカイル兄上もいくらか息があがってきたところで、ようやく拷問は終わった。
「お前は昔からそうだ。何故、本気でやらない? 俺を馬鹿にしているのか」
そう吐き捨てて、カイル兄上は俺に背を向けた。
返事をしようにも、ぜいぜいと喉を鳴らすのが精一杯で言葉にならない。
カイル兄上の後ろ姿が遠ざかっていく。
ふと気がつくと、地面に座り込んだまま肩で息をする俺をエレーナの栗色の瞳が見下ろしていた。
「お兄様はあなたを買い被り過ぎね。 どう見ても、受けるのが精一杯で反撃する余裕なんてないように見えたけど」
「まったくその通りですよ。王女殿下の言葉なら聞き入れてくれるかも知れないので、兄上にそう言ってくれませんかね?」
カイル兄上は昔から俺の実力を過信している。 仮にもティーザを名乗る自分の弟
が弱いという事実を受け入れたくないのだろう。
「でもね、国内五指に入ると言われるあの剣に一度も当たらないってのはそれだけですごい事じゃないかしら。
ねぇ、アゼル。なぜ弱い振りをするの?」
エレーナはいつもの調子で何故?と問いかけてくる。
その瞳は好奇心に満ちていた。
さて、この質問には何と答えるのが正確なのだろうか。
さすがのカイル兄上もいくらか息があがってきたところで、ようやく拷問は終わった。
「お前は昔からそうだ。何故、本気でやらない? 俺を馬鹿にしているのか」
そう吐き捨てて、カイル兄上は俺に背を向けた。
返事をしようにも、ぜいぜいと喉を鳴らすのが精一杯で言葉にならない。
カイル兄上の後ろ姿が遠ざかっていく。
ふと気がつくと、地面に座り込んだまま肩で息をする俺をエレーナの栗色の瞳が見下ろしていた。
「お兄様はあなたを買い被り過ぎね。 どう見ても、受けるのが精一杯で反撃する余裕なんてないように見えたけど」
「まったくその通りですよ。王女殿下の言葉なら聞き入れてくれるかも知れないので、兄上にそう言ってくれませんかね?」
カイル兄上は昔から俺の実力を過信している。 仮にもティーザを名乗る自分の弟
が弱いという事実を受け入れたくないのだろう。
「でもね、国内五指に入ると言われるあの剣に一度も当たらないってのはそれだけですごい事じゃないかしら。
ねぇ、アゼル。なぜ弱い振りをするの?」
エレーナはいつもの調子で何故?と問いかけてくる。
その瞳は好奇心に満ちていた。
さて、この質問には何と答えるのが正確なのだろうか。