役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
「お兄様達に遠慮したの? あなたの家族はそんなに器の小さい人間には見えないけれど」

異民の血をひくこと、養子であることに引け目を感じているのかと彼女は問いたいのだろう。

それは俺自身にもわからなかった。

引け目を感じた事が全くないといえば嘘になるが、生来の怠け者であることもまた事実だと思う。

俺は少し考え、ゆっくりと首をふった。

「まさか。そんなに自惚れ屋じゃありませんよ。俺はそこそこに賢い子供だったんで、兄達には敵わないと早々に見切りをつけたんです」

おそらく一番正解に近いであろう答えを口にした。


エレーナはそれ以上は何も言わず、俺達はわずかな時間、のんびりと景色を眺めて過ごした。

兵達の訓練の掛け声が遠くに聞こえ、流れていく真っ白な雲が目に眩しかった。
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