役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
◇◇
「はぁ!?街に出てみたい??」
エレーナがティーザ城にきて、もう半年近くになるだろうか。
彼女は突然そんなことを言い出した。
「だって、私、街で自由に買い物をしたりした事ないのよ。食堂って言うんだったかしら。そこにも行ってみたいし」
「気持ちはわからなくもないですが、王女じゃなくても貴族のご令嬢はやたらと街に出たりはしないものですよ」
貴族や裕福な家庭の場合、お抱えの行商人が直接家に訪ねてくるので街に出る必要はない。
その行商人の対応ですら、普通は使用人が代行するので、奥方や令嬢が表に出てくることはほとんどなかった。
「ほら、一般の国民がどんな暮らしをしているか知ることも王女の務めじゃないかしら?
それに、私が街を歩いてても誰も王女とは思わないわよ」
エレーナは王女らしくないことを堂々と自慢してみせた。
買い物をしたいが8割、王女の務めが2割くらいなものだろうと俺は思ったが、言わないでおく事にする。
「・・危ないことはしないと約束してくれますか?エレーナ」
「もちろん! ありがとう、アゼル」
エレーナは無邪気に俺に飛びつき、首に腕を回してきた。
鼻をかすめる甘い香りは彼女の使う香油だろうか。
「はいはい」
俺は幼い子供にするように、彼女の頭を
撫でてやった。
そうすることで、自分の中に生じた戸惑いをごまかした。
・・・男に軽々しく抱きつくなと教えるのも俺の役目なのだろうか。
エレーナに気づかれないよう、小さく溜息をつく。
「はぁ!?街に出てみたい??」
エレーナがティーザ城にきて、もう半年近くになるだろうか。
彼女は突然そんなことを言い出した。
「だって、私、街で自由に買い物をしたりした事ないのよ。食堂って言うんだったかしら。そこにも行ってみたいし」
「気持ちはわからなくもないですが、王女じゃなくても貴族のご令嬢はやたらと街に出たりはしないものですよ」
貴族や裕福な家庭の場合、お抱えの行商人が直接家に訪ねてくるので街に出る必要はない。
その行商人の対応ですら、普通は使用人が代行するので、奥方や令嬢が表に出てくることはほとんどなかった。
「ほら、一般の国民がどんな暮らしをしているか知ることも王女の務めじゃないかしら?
それに、私が街を歩いてても誰も王女とは思わないわよ」
エレーナは王女らしくないことを堂々と自慢してみせた。
買い物をしたいが8割、王女の務めが2割くらいなものだろうと俺は思ったが、言わないでおく事にする。
「・・危ないことはしないと約束してくれますか?エレーナ」
「もちろん! ありがとう、アゼル」
エレーナは無邪気に俺に飛びつき、首に腕を回してきた。
鼻をかすめる甘い香りは彼女の使う香油だろうか。
「はいはい」
俺は幼い子供にするように、彼女の頭を
撫でてやった。
そうすることで、自分の中に生じた戸惑いをごまかした。
・・・男に軽々しく抱きつくなと教えるのも俺の役目なのだろうか。
エレーナに気づかれないよう、小さく溜息をつく。