役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
女の買い物は時間がかかると決まっているので、俺は先に腹ごしらえを済ませることにした。
平民が通うようなありふれた食堂に入り、いくつかの品を注文する。
店は賑わっていたが、料理はすぐに運ばれてきた。
「アゼル。 これは何?」
エレーナが手に取っているのは、小麦粉を捏ねて薄く油を塗って焼いたもの。
この国では主食として広く食べられているものだ。
「パンですよ」
「パン!? 私が知っているパンとは随分違うようなんだけど・・」
周りに会話を聞かれないよう警戒して、俺達は小声で会話をする。
「貴方が普段食べている柔らかいパンは質のいい小麦を使い、ものすごく手間をかけて作られた高級品です。
平民にはとても手が届きません。
多くの国民にとっては、パンといえばこれです」
俺の説明にエレーナは驚き、しゅんとした表情を浮かべた。
自分の無知を恥ずかしいと思っているんだろう。
俺も含め、贅沢を当然の権利のように享受している貴族達より彼女はずっと聡明だった。
「けど、必ずしも高価な方が美味いとは限りませんよ? ちょっと食べてみて下さい」
俺がにやりと笑ってそう言うと、彼女は初めて目にした薄くて硬いパンをおそるおそる口に入れた。
平民が通うようなありふれた食堂に入り、いくつかの品を注文する。
店は賑わっていたが、料理はすぐに運ばれてきた。
「アゼル。 これは何?」
エレーナが手に取っているのは、小麦粉を捏ねて薄く油を塗って焼いたもの。
この国では主食として広く食べられているものだ。
「パンですよ」
「パン!? 私が知っているパンとは随分違うようなんだけど・・」
周りに会話を聞かれないよう警戒して、俺達は小声で会話をする。
「貴方が普段食べている柔らかいパンは質のいい小麦を使い、ものすごく手間をかけて作られた高級品です。
平民にはとても手が届きません。
多くの国民にとっては、パンといえばこれです」
俺の説明にエレーナは驚き、しゅんとした表情を浮かべた。
自分の無知を恥ずかしいと思っているんだろう。
俺も含め、贅沢を当然の権利のように享受している貴族達より彼女はずっと聡明だった。
「けど、必ずしも高価な方が美味いとは限りませんよ? ちょっと食べてみて下さい」
俺がにやりと笑ってそう言うと、彼女は初めて目にした薄くて硬いパンをおそるおそる口に入れた。