役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
もちろん、嫌われてはいないだろう。
いや、好かれていると言ったっていいかも知れない。
だけど・・
その好意が婚約者という立場に向けられているものなのか、俺個人へのものなのかはわからない。
少なくとも、俺が彼女に抱いている気持ちとは別物のような気がする。
それから、もう一つ。
初めて会った頃から薄々気がついていたことがあった。本人はきっと自覚していないだろうけど・・・
できることなら、このままずっと気づかないでいて欲しいーー。
そう思ってしまう自分の女々しさが心底嫌だった。
「アゼル。俺はもう営所に戻るけど・・」
ぼんやり宙を眺めていた俺にテオが声をかける。俺はテオにつられるようにして、立ち上がった。
「あぁ。俺も城に戻るよ」
「おう、また勝負しよう。次こそは俺が勝つからな」
鼻息荒く宣言するテオに、笑って手を振った。
俺の愛馬は俊足なので、あっという間にティーザ城へと戻ってこれた。
厩の前で馬から飛び降りたところで、門扉から出てきた男と目が合った。
すらりと背の高い壮年の男。上質な長衣を身にまとい、紳士的な笑みを浮かべてはいるが、その佇まいはよく訓練された軍人のそれで、一切の隙が無かった。
いや、好かれていると言ったっていいかも知れない。
だけど・・
その好意が婚約者という立場に向けられているものなのか、俺個人へのものなのかはわからない。
少なくとも、俺が彼女に抱いている気持ちとは別物のような気がする。
それから、もう一つ。
初めて会った頃から薄々気がついていたことがあった。本人はきっと自覚していないだろうけど・・・
できることなら、このままずっと気づかないでいて欲しいーー。
そう思ってしまう自分の女々しさが心底嫌だった。
「アゼル。俺はもう営所に戻るけど・・」
ぼんやり宙を眺めていた俺にテオが声をかける。俺はテオにつられるようにして、立ち上がった。
「あぁ。俺も城に戻るよ」
「おう、また勝負しよう。次こそは俺が勝つからな」
鼻息荒く宣言するテオに、笑って手を振った。
俺の愛馬は俊足なので、あっという間にティーザ城へと戻ってこれた。
厩の前で馬から飛び降りたところで、門扉から出てきた男と目が合った。
すらりと背の高い壮年の男。上質な長衣を身にまとい、紳士的な笑みを浮かべてはいるが、その佇まいはよく訓練された軍人のそれで、一切の隙が無かった。