役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
「ですが、俺よりカイル兄上の方が相応しいのでは? カイル兄上の婚約者にはお可哀想な事ですが、相手は仮にも王女様ですし」

俺の名誉のために言っておくと、役立たず姫があまり美人じゃないとの噂から婚約者の地位を辞退したわけじゃない。

理由はもっと単純明瞭。

王女様の伴侶なんて、死ぬほど面倒くさそうだからだ。


そんな俺の胸中を見透かしたように、ミハイル兄上は優しく、しかし否とは言わせない迫力を持って微笑んだ。

この人の笑顔はどうにも苦手だ。


「まぁ、婚約者とは言っても、すぐに結婚という事はないんだ。
当面は王女の世話係だな。

軍の仕事で何かと忙しいカイルより暇を持て余してるお前が適任だろう」

なるほど。

いざ結婚となれば、話はカイル兄上にいくだろう。

王女の世話係も面倒には違いないが、妥協案として俺はこの話をのむことにした。

まぁ、退屈な毎日のちょっとしたスパイスと思うことにしようか。
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