役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
こんなど田舎にまで『役立たず姫』のあだ名が浸透してしまっているエレーナ王女は今年14歳になられる筈だ。


美しくもなくれば、賢くもない、変わり者の王女。
母親の身分が低いので他国の王家にも嫁げない役立たず。

そう世間では噂されている。


エレーナ王女の母君はエリン前王妃の侍女だったリーザ様。
リーザ様は平民の娘で、エレーナ様を産んだことで側妃の身分を得た。

たしか、エリン王妃と同じ流行病で亡くなられて、もう何年になるだろうか。




婚約者という厄介な問題を置いておけば、俺は噂の役立たず姫に会えることを結構楽しみにしている。

何故かというと・・・

役立たず姫にはもう一つ噂があったからだ。


本当は役立たず姫の名とはほど遠い、美しく聡明な王女だと。


プライドの高いアンヌ王妃が自分より美しいエレーナ王女を妬んで、悪い噂を流したのだと。


結構ありそうな話じゃないかと、俺は思っている。

何せ、エレーナ王女はアンヌ王妃の息子であるミリアム王子の地位を脅かす可能性のある唯一の人物だからね。

もちろん正妃の息子で男子であるミリアム王子が圧倒的優位であることは誰もが認めるところだけど。
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