役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
「殿下という呼び名は辞めて。 敬語も必要ないわ。 私はいずれあなたの妻になるのだから」
お姫様は早速、幼稚なワガママで俺を困らせた。
「いずれはそうかも知れませんが、現時点では一国の王女と家督も継げない貴族の息子ですからね。不敬罪で首を切られるのは御免ですよ」
俺は呆れた顔を隠しもせずに、そう言った。
それでもへこたれないお姫様は何か良いことを思いついたようで、ニコニコしながらポンと手を打った。
「では、折衷案にしましょう。交渉の基本ですものね。
敬語はそのままでいいわ。その代わり、殿下はやめてエレーナと呼んで」
どこらへんが折衷案なのか理解に苦しむが、王女、いやエレーナがあんまり嬉しそうな顔をするので俺は折れることにした。
堅物なカイル兄上なら決して承諾しないだろうが、俺は王家への忠誠心なんて大して持ち合わせていないから、まぁ良しとしよう。
「かしこまりました、エレーナ」
俺は物語の王子様をまねて、芝居がかったお辞儀をしてみせた。
エレーナの手をとり、その指先に口付けをする。
目をまんまるくして俺の動作に見入っていたエレーナだったが、ゆっくりと、花がほころぶように微笑んだ。
「よろしくね、アゼル」
お姫様は早速、幼稚なワガママで俺を困らせた。
「いずれはそうかも知れませんが、現時点では一国の王女と家督も継げない貴族の息子ですからね。不敬罪で首を切られるのは御免ですよ」
俺は呆れた顔を隠しもせずに、そう言った。
それでもへこたれないお姫様は何か良いことを思いついたようで、ニコニコしながらポンと手を打った。
「では、折衷案にしましょう。交渉の基本ですものね。
敬語はそのままでいいわ。その代わり、殿下はやめてエレーナと呼んで」
どこらへんが折衷案なのか理解に苦しむが、王女、いやエレーナがあんまり嬉しそうな顔をするので俺は折れることにした。
堅物なカイル兄上なら決して承諾しないだろうが、俺は王家への忠誠心なんて大して持ち合わせていないから、まぁ良しとしよう。
「かしこまりました、エレーナ」
俺は物語の王子様をまねて、芝居がかったお辞儀をしてみせた。
エレーナの手をとり、その指先に口付けをする。
目をまんまるくして俺の動作に見入っていたエレーナだったが、ゆっくりと、花がほころぶように微笑んだ。
「よろしくね、アゼル」