海 に 溶 け る 。
「ね、どこにいくのよ」
「楽しみはとって置いた方がいいよ。あ、もしかして門限とか厳しい?」
「そんな訳ないじゃん、こんなヤツが」
鼻で笑ったあたしを直はちらっと見た。
そしてまた前を見る。
冷めた家庭ではなかった。
お父さんもお母さんもよく笑っていて、そこにあたしがいて
それはまるで絵に描いたような家庭。
最後にあたしの目に映ったのは
あたしを見て
怒鳴るお父さんの顔と
泣き崩れるお母さんの姿。
『お前なんか、もう家の子じゃない!』
『……未央。どうして?どうして、正しいことと間違いをちゃんと判断できなかったの?』
あの日の光景がまだ鮮明に浮かぶ。
……胸くそ悪りぃな。