海 に 溶 け る 。
直は言葉を続ける。
「自分でも信じられないけれど、そうなんだ。ずっと小さい頃から入院ばかりだったし入院してなくても検査には必ずいってた。だけどもうどうしようもないから残された時間は外で過ごすことを許されたんだ」
「嘘ッ……。だって、こんなに元気で……」
今、目の前にいるのに
あんなに笑ってたのに。
「……ほんとにこんなに元気なのに、俺の終わりは近いんだ」
儚く笑う、直。
「別に、生きたくても生きることができない人間がいるんだから死ぬなって言いたいわけじゃない。俺と未央の人生は違うんだから。……けど、死ぬときは笑って死んでほしい。笑って死ねるくらい全力で生きてほしい」
涙がとまらなかった。
拭うこともできなくて後から後から頬をつたう。