話をしよう。
啓太の笑った顔を見るのは、いつ以来だろうか。そんなことを思いながら、私も珈琲に口をつける。
「なんか、久しぶりだよね」
「...そうだな」
「元気だった?」
「...そこそこ?」
「なんで、疑問系なの」
「知らね」
「ははっ、なんだそれ...
啓太、仕事とか上手くいってる?」
「まぁ、それなりに、そっちは?」
"そっちは?"の言葉が私の中の何かに、引っ掛かった。啓太はいつからか、私を"姉貴"と呼ばなくなった。
「....今は忙しいけど、充実してるよ」
「ふーん、ま、そりゃ今は忙しいよな」
そう言って、また啓太はカップを傾けた。
「ねぇ、啓太」
「...なに?」
「啓太は今、幸せ?」
そう問えば、啓太は少しだけ驚いたように目を見開いて、それから"コトっ"とカップを置くと、乾いた笑いを溢した。