いぬorひと
「すまん。如月。」
「宏さん」
慌てて駆け寄ってきた、私より三歳年上の宏さん。
ガタイのいい宏さんは
ヒョイっとぴょん吉を抱き上げて
「こら、如月に飛びかかるのはやめろ。
あぶないだろ。」
と優しくたしなめてそっと地面に下ろす。
「ワンッ」
わかっているのか分かっていないのかわからない返事をしているぴょん吉。
「全く、お前も毎回すまないな。」
「いえ、」
それにしても軽々柴犬のぴょん吉を抱き上げる
ひろむさんはさすがだな。
そう思っていると。
その時私は後ろから殺気を感じた。
柄にもなく肩をびくつかせ
後ろを振り返ると、
ガオオオ
その時今までの威嚇とは比べ物にならないほど
負のオーラをまとい
金色の目をぎらつかせたノラがいた。