僕 ✕ 私
別れ▷出会い
美雨Side_______

私 桜庭 美雨《さくらば みう》です!

一胡麻中学校 通称一中の2年生。

2月14日、幼馴染みの深瀬 涼《ふかせ りょう》と朝焼けに照らされながら登校中。

涼は昔からスポーツが大好きで、得意で、優しくて、いつも笑顔で、誰からも好かれるような性格。

そんな涼を幼馴染みとして持っていることを誇りに思う今日このごろです…。


美雨「涼、今日一緒に帰れないかもー汗」

涼「いいよ、美雨モテるもんな。バレンタイン  チョコやばいだろw」

美雨「うーん…笑」


涼の言うことって、褒めてくれるんだけど気まずくなるんだよね…笑

でもそんなとこも好きだけど…幼馴染みとして!笑


涼(…バレンタイン…か。今年ももらえんのか  な。)


バレンタイン…涼、私にあんなこと言ってたけど、涼だってモテるじゃん…。

バレンタインの時期になるといつも私が不安になってるってこと、気付いてないよね…。

幼馴染みだからもらえるって確証はなくて、でも貰いたくて…


あれ??

私、

涼のこと好きなの…?

幼馴染みとしてじゃなくて

一人の異性として…?


美雨「涼、彼女さんは?」

涼「…別れた」

美雨「え?!いつ!!」

涼「2週間前」

美雨「えぇっ!聞いてないよー!」

涼「言ってないからなw」


幼馴染みだから、涼のことは何でも知ってると思ってた______。

誰よりも知ってるって。


涼には彼女がいた。

去年の半ば頃から付き合ってるっていう彼女。

相手から告白してきたらしくて、
その猛烈なアピールに負け、二つ返事でOKしてしまったらしい。


美雨「…好きな人とか出来たとか?」


冗談半分で聞いてみた。

すると予想外の返事が返ってきたのだ。


涼「え、なんでわかんの?!」


驚いて立ち止まる涼。

…図星…か。


美雨「誰々?私が知ってる人?バレンタインは   上げるの?」


とりあえず会話を続けようと、
思いついた質問全部投げかけようとする私。


美雨「ちなみに同級生?モテる子?仲いいの?」


むちゃくちゃに聞く私に対して、涼はなるべく冷静に答えてくれる。


涼「美雨もよく知ってる人。てか誰よりも知っ  てんじゃねぇかなw
  バレンタインは上げる。だけどモテるから  そいつもらえるかわからないw
  同級生でめっちゃ仲いいよ。」


同級生で私が良く知ってるモテる人…。

誰だろう。加奈?

三島 加奈《みしま かな》は私の親友で、
あまり怒らなくて優しくて誰よりも人思いな性格から、
バレンタインになると毎年チョコが凄いことになるらしい。

靴箱につき、上靴に履き替えながら話を続ける。


美雨「加奈、好きな人いるって言ってた。
   もしそれが涼なら!!」


自分で何言ってんだろ。

たしかに涼には幸せになってほしいけど。

涼の幸せを一番近くで感じたい。

涼と一緒の幸せを感じたい。

そう思ってるのに、
口は変なことばかり言って涼を困らせる。


涼「…三島はたしかに可愛いよな!
  けど俺が好きなのは三島じゃねぇよ。」

美雨「えっそーなの?!」


涼がしっかりと否定した。
嬉しいけど、じゃあ誰なんだろう。


美雨「じゃあ誰ー?」

涼「お前には一生言わねーw」

美雨「は?!ひっど!!w」


こんなケンカみたいな他愛もない会話さえ楽しいと感じる。

嬉しい。楽しい。ニヤけを抑えるのに必死だ。


涼「でも…いつかは…」

美雨「ん?いつき?」

涼「え!?汗」

美雨「ん?今、『いつき』って言わなかった?」


階段を登りながら、私は笑う。

いつき…。私の学校には、神様と拝められる伊月 潤《いつき じゅん》という先輩がいた。

もっとも、今年の2学期に転校しちゃったけど。

私は伊月先輩の元カノにあたる存在。

そして涼は、伊月先輩の小学校からの親友らしい。


??「よっラブラブ夫婦!」

涼「鹿山!!」

美雨「と、茅野さん」


同級生で、人をいじるのが大好きなそこそこのイケメン、鹿山 慧《かやま けい》くんと

一中1年の、おしとやかで本が大好きな清楚系美女、茅野 碧海《かやの あおい》ちゃん。

二人は付き合っている。


涼「お前らも人のこと言えねぇだろw」

美雨「そーだよー(笑)」

慧「っせぇやい!」

碧海「ふふ…」


涼と慧が言い合っているのを見て、
碧海ちゃんは静かに笑う。

その笑顔がまたかわいい!!

慧「あ、桜庭!ちょいと涼のこと借りてもいい  か?すぐ返すからよ!」

美雨「どーぞどーぞ!いくらでも持ってって!」

慧「ありがとw」

涼「なんかひでぇ…w」
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