僕 ✕ 私
慧Side______

涼はいつも奥手だ。

好きな奴がいても、自分からアピールしようとしない。


涼「んだよ~」


だから俺が背中を押してやらなきゃ。


慧「お前、桜庭の事好きなんだろ?」

涼「は?!な…何言ってんだよ…/////」


ホント分かりやすい奴w

でも、俺がどうこうしたところで本人が勇気を出さない限り何も変わんねぇんじゃねぇか…?

涼自身が、桜庭と向き合って

自分自身の気持ちを認めないと

きっと何も始まらない。

…俺の力でなんとか出きっかな。


涼「…確かに好きだよ。
  でもあいつとは幼馴染みで。
  その関係を壊したくないって気持ちもある  んだ。
  だから俺はこのままでいいと思ってる。
  好きだって気持ちは封印する。
  心の奥深くのタンスにでもしまっとくよ」


そう言って涼は胸を抑えて目をつむった。

かすかにまぶたが震えている。


慧「後悔すんぞ」

涼「いいよ」

慧「良くねぇだろ」

涼「いいんだ。喋れなくなるよりはマシだろ」

慧「ざけんなよ!!変なとこでかっこつけてん  じゃねぇよ!!」


俺はついにブチギレた。


慧「自分の気持ちに嘘ついてなんのメリットが  あんだよ!
  そんな嘘の気持ちで接せられる桜庭の気持  ちにもなれよ!!」

涼「慧に何がわかんだよ!!
  俺だって…俺だって本当は…。
  でも気持ち伝えて何になる?
  振られるのは目に見えてる。
  あいつ、好きな人いるみたいだし。
  名前も顔も知らないけど多分俺じゃない。
  そんな奴のことを楽しそうに顔を赤くして
  話してるのを見る俺の気持ちがわかるか?
  どう反応していいのかわかんなくて
  困って戸惑って…美雨に感づかれないよう
  に必死でごまかして!!」

慧「…その好きな奴、聞いてみればいいだろ」


こいつどこまで鈍感なんだよ!

桜庭が好きな奴は…桜庭が一番想ってる奴は…

一人だけなのに。

気づけよ鈍感バカ。


涼「んなことしたら余計気持ち伝えらんねぇ
  じゃん。」

慧「聞いてみなきゃ何もわかんねぇだろ」

涼「…そんな勇気、俺にはねぇよ…」


寂しそうに静かにため息をつく涼。

そんな涼を見て、俺は言葉を失った。

マズイ。沈黙だ。


碧海「慧くん!深瀬先輩!大変です!」


そんな時、少し向こう側で碧海の声がした。

相当慌てているのか、息切れ混じりのとぎれとぎれの言葉だ。


慧「どうした?」

碧海「美雨先輩が、、すごい熱で」

涼「美雨が?!」


涼の顔色が一気に変わる。


慧「行ってやれ涼。保健室の場所は知ってる
  だろ。」

涼「あぁ。ここ(裏庭)からだとたぶん10分
  あればつくよな…」

慧「俺が言ったことは今は忘れとけ。
  今は、桜庭の看病を最優先しろ。」

涼「お前に言われなくてもわかってるっての。
  …じゃ、また後でな!」


言い終わらないうちに走り出す涼。

…誰が見てもわかるよな、桜庭への愛。

それがどれだけ強いものなのか。
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