青の哀しみ
すごくいい男というわけでもないけど、もてるだろうなと思う。

優しそうな瞳は、女性をひきつけるのに充分だ。

そして実際に、八広さんは優しかった。獣医という職業が笑えるほどにあっている。

もっともその優しさが本当かどうかなんてわからないけど、今の時点では優しい。

「今日、何か予定ある?」

私は八広さんの言葉に笑って首を振った。

「あるわけないよ」

「じゃあさ」

八広さんは一瞬言葉を詰まらせたあと、早口で言った。

「今日はデートしよう」

私は少し驚いたが、うなずいた。

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