青の哀しみ
旅立ち
キノは女の子で、ウェルッシュ・コーギーという種類の犬だ。

体は柴犬くらいなのに、足が短く、尻尾が無い。

イギリス女王に愛されているという由緒正しき犬なのだ、と勝手に私は思っている。

尻尾は生まれつき無いのもいるが、あったら切られてしまうという。

キノはどっちだったのかは知らない。飼ったときにはすでに尻尾は無くて、その愛らしいお尻をフリフリと振って歩いていた。

尻尾が切られるのはとてもかわいいそうだけど、まあるいお尻を振って歩く姿はなんとも言えず愛らしいのは事実だ。

今もキノはお尻をフリフリして歩いている。かわいいとしか言いようが無い。

私はキノが大好きだ。本当に大好きだ。

一番好きだったおばあちゃんが死んで、一番好きだったキノが残った。そう、私には一番が二つあったのだ。

キノは、近所のコーギーが産んだうちの一匹だった。血統書は特に取ってないから、厳密にはコーギーではないのかもしれない。

だけどそんなことはどうでもいい。キノが一番であることには変わらない。

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