青の哀しみ
それは、おばあちゃんが死んだ日のことだった。
私は白い布が覆いかぶされたおばあちゃんのそばで、ただ一人呆然としていた。
病院に見舞いに行くと、いつも家に帰りたいといったが、その願いは結局叶えられなかった。薄汚れた白い壁の中で、おばあちゃんは死んだ。
私の父という名の男の人は、家で死ぬのは警察とかが来て面倒になると言ってそれを許してくれなかった。
私は働き始めて二年がたっていて貯金は100万円あった。
高校を卒業してすぐ働いた私の給料は初任給が16万円ちょっとで、悪いほうではないのかもしれないが、それでも良くためたほうだと思う。
化粧も、かわいい服も買わずに黙々と貯めたお金を使うのはこの時だったのかもしれなかったが、それさえも出来なかった。
もう大人になったはずの私は、それでも世間のことなど何一つ知らなかった。保険のことや、入院のこと、手術のこと、何もかもわからずただ父の言われるままにし、大好きな祖母の願い一つも叶えられずに、失った。
寒さも解け始めた春のことだった。
誰かが、季節の変わり目は老人はすぐに死ぬといっていた。
その通りに、老人が一人逝った。
世間話の一つに入るだけの話であり、それ以上でもそれ以下の出来事でもない。
それでも、私はただ呆然と、祖母の信じられないほどに細くなった手をそっと握り、世界が一つ終わったのだと感じた。
私は白い布が覆いかぶされたおばあちゃんのそばで、ただ一人呆然としていた。
病院に見舞いに行くと、いつも家に帰りたいといったが、その願いは結局叶えられなかった。薄汚れた白い壁の中で、おばあちゃんは死んだ。
私の父という名の男の人は、家で死ぬのは警察とかが来て面倒になると言ってそれを許してくれなかった。
私は働き始めて二年がたっていて貯金は100万円あった。
高校を卒業してすぐ働いた私の給料は初任給が16万円ちょっとで、悪いほうではないのかもしれないが、それでも良くためたほうだと思う。
化粧も、かわいい服も買わずに黙々と貯めたお金を使うのはこの時だったのかもしれなかったが、それさえも出来なかった。
もう大人になったはずの私は、それでも世間のことなど何一つ知らなかった。保険のことや、入院のこと、手術のこと、何もかもわからずただ父の言われるままにし、大好きな祖母の願い一つも叶えられずに、失った。
寒さも解け始めた春のことだった。
誰かが、季節の変わり目は老人はすぐに死ぬといっていた。
その通りに、老人が一人逝った。
世間話の一つに入るだけの話であり、それ以上でもそれ以下の出来事でもない。
それでも、私はただ呆然と、祖母の信じられないほどに細くなった手をそっと握り、世界が一つ終わったのだと感じた。