甘い誘惑*短編*
彼は私が通う高校の先輩だ。
正しくは中学からの先輩。
追っかけたのかと問われれば私は無言を貫く。
さっさと告白して玉砕しちゃえば、とも考えたことはあるけれど。
如何せん、先輩の隣は居心地が良すぎたみたいだ。
玉砕するのが、隣に居れなくなるのが恐ろしく、怖い。
先輩の部屋のクッションを抱えてこっそり聞こえないようにため息をついた。
「そういう意味不明なとこ、面白いよな。俺のツボ」
「別に私は意味不明なこと言った覚えないんですけどね…意味不明に聞こえるなら先輩が鈍感でアホなんですよ」
「…すごい言いようだな。なに、はぶててんの?」