ゆいちゃんと孤独
「・・・ゆいちゃん!おはよっ」
「ゆいちゃん、来たんだ!待ってたよ」
「・・・・え」
クラスの友達は、ゆいちゃんのことが嫌いでした。
そんなものは、ゆいちゃんの幻想でした。思い込みでした。
クラスの友達は、ゆいちゃんのことが大好きです。
ただ、ゆいちゃんが勝手に嫌われていると思っていただけだったのです。
ゆいちゃんはそのことにまだ気付いていません。
だけど、温かいクラスメートに、嬉しくなって笑顔を浮かべました。
ゆいちゃんに足りなかったのは、自信でした。
馬鹿だと自分を蔑み、勝手に嫌われていると思い込んで独りぼっちの世界を作って、自信を持てなかっただけだったのです。
誰かを、自分を愛することを忘れていただけだったのです。
周りを見れていなかっただけだったのです。
「もー、なんで休んでたの?心配したんだからっ!」
「ごめーん!ちょっとね」
ゆいちゃんは友達に笑い返すと、慌てて後ろを振り返りました。
だけど、教室に入るまでいたぼっちんは、もうそこにはいませんでした。
「ぼっちん・・・・」
消えてしまった。
ゆいちゃんはすぐそう察しました。
そして、同時に気付きました。
ぼっちんが嫌われることを仕事だと言っていたのは、ゆいちゃんが孤独を嫌って失くした愛を探して見つけることで救われるということだったのだと。