ゆいちゃんと孤独
「・・・ゆいちゃん。馬鹿は、嫌?」
「嫌。馬鹿、嫌い」
「ぼっちんよりも?」
「・・・・」
ゆいちゃんは黙ってしまいました。
ゆいちゃんは孤独が嫌いです。だけど、馬鹿も嫌いです。
だから、どっちが嫌いかなんて分かりませんでした。
それに、孤独は嫌いだけどぼっちんは嫌いじゃないから、何て言えばいいか分からなかったのです。
「・・・ううん。ぼっちんよりは好き」
だけど、ゆいちゃんは一生懸命考えて、そう答えました。
「そっか・・・じゃあ、それでいいんじゃない?一番嫌いなものじゃないんだから、馬鹿でもいいと思うよ。自分が一番嫌いなものに自分がなってしまうのはいけないけど、そうじゃないのなら、それでいいと思う。無理に背伸びしなくてもいいんだよ」
ありのままでいい。
そのままでいい。
その言葉が、ゆいちゃんの心に刺さりました。
何かが、すっと消えて行く気がしました。
「ゆいちゃん、ゆいちゃんは自分のこと嫌い?」
「ううん、嫌いじゃない」
「じゃあ、馬鹿も嫌いじゃないってことだね」
「え・・・?」
「だって、馬鹿が嫌いなら、馬鹿のゆいちゃんのことも嫌いってことになるもの。だから、ゆいちゃんが自分のことを嫌いじゃないなら、馬鹿だって本当は嫌いじゃないってことになるでしょう?」
「・・・そっか。ゆいちゃん、馬鹿嫌いじゃない」
「うん。じゃあ、馬鹿は止めなくていいね」