ゆいちゃんと孤独
ゆいちゃんは幸せでした。
理由は簡単です。
みんなのことが好きだからです。
もう独りぼっちじゃないからです。
「明日、学校行く」
「うんっ!」
次の日の朝、教室の扉の前にゆいちゃんとぼっちんはいました。
ゆいちゃんは不安でした。
実は、ゆいちゃんはもう一ケ月学校に行っていなかったのです。
だから、みんなにどんな反応をされるのか、とても不安でした。
「ゆいちゃん。最後に、一つだけいいかな?」
胸をドキドキさせているゆいちゃんに、ぼっちんは声を掛けました。
「うん、いいよ」
ゆいちゃんはかがんでぼっちんの顔を見ました。
「きっと、今はまだ分からないだろうけど・・・・」
「ゆいちゃん、君は昨日、僕のことを好きだって言ってくれた。それはすごく、ものすごく嬉しかった。だけどね、これからは、ずっとずっと僕のことを嫌って生きて欲しい」
「え・・・?どうして?」
「孤独は、言わば詰め物なんだ。心の隙間を埋める、詰め物。一時的な応急処置だと思ってくれればいい。空っぽの心が、心の隙間が〝孤独〟じゃないんだよ。そこを埋めている詰め物が〝孤独〟なんだ。だけど、その詰め物はいつか捨てなくちゃいけないんだ。だから僕は、嫌われるように悪者になっている。」
「でも、ぼっちんは良い人だよ?ヒーローだよ、ゆいちゃんのこと助けてくれたよ」
「ううん。ぼっちんは悪者なんだ。ねえ、前言ったこと覚えている?「ぼっちんは嫌われることが幸せなんだよ」って言ったこと」
「うん、覚えてる」