影姫にあいを
「やっぱ降ろして下さい……。」
さっきは正気じゃなかった。
「だめ。」
そう言ったきり優はベッドに腰をかけて膝の上で向かい合うように抱き締める。
それからは髪をいじったり肩に顔を埋めて、すんすんと匂いを嗅いだり、頬ずりをしたり、撫でてみたり。
散々に遊んでくれている。
とにかく私はくすぐったくて恥しくて死にそうなのだ。
「優?そろ、そろ……。」
「ずっと触れたくて我慢してた。
美影はなかなか倒れないし、しかも耐えるためにガラス握ったりしてそんなに俺に逢いたくないのかと思うと泣けてくるし。
結衣に見張るよう頼んだらずっといちゃいちゃしてるし妬いた。」
抵抗も虚しく子供のように、スラスラと不満を並べ出す。
それは気を許してくれてるからだと思えば凄い嬉しい。
だけど最後の、結衣くん?なんで、
「ん?結衣くんのこと知ってるの?」
「あれ、俺の弟。」
「えっ?!」
まさかの事実。
言われて見れば似てるかもしれない……。