影姫にあいを

すると優が私の頭に手を置いて、

「話してくれてありがとう。
でもそれは美影が悪い訳じゃない。
俺は美影に会えて幸せだし、美影には悪いけど両親にいらいらした。
これからは俺が守るから。誰にも傷つけさせないし、捨てたりしない。
だから泣きたいときは泣いて。笑うときは笑って。そしたら俺も幸せだから。」

「うん……。ありがっ……とう。」

返ってきた言葉は全部温かくて自然と涙が零れてきた。

そうだった。優はそういう人だ。

「目腫れるからタオルもってくる。」

「やっ……。行かないで。」

せっかくの優しい言葉に我儘で返すのは申し訳ないけど、でもいつもそうだった。

涙が零れたときに誰も居ないのは孤独で怖い。

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