影姫にあいを
ちょっとでも優が離れるのは寂しい。
「ふふっ大丈夫だから。抱っこしてあげる。一緒に行こう。」
優は私を安心させる天才だ。
どうやっても不安で1人に慣れない私を優しく包む。
優が洗面台の横の広いスペースに私を座らせた。
「ちょっと待ってね。」
タオルを絞っている優をぼやっと見ていた。
するとじんわりと温かいタオルが視界をふさぐ。
「あんまりこっち見られるとキスしそう。」
優がぽつりと呟く。
それでもいいのに。
優ならいいのに。
でも今は優の顔が見えないからあんまりよくないかもしれない。