イタミ
私は見ていた。




美山さんがパスを受けて、ドリブルしていた君の前に足を出して


わざと転ばせたところを。



スピードがついていた君は、足に引っかかってそのまま前に転んだ。





「ど、どうした?」


体育の男性教師が驚いたように近づいていく。



クラスの女子たちはざわついていた。



君は前にうずくまったままだ。



「何があった?」


教師が美山さんに聞く。

でもわかる、正直に言うわけない。



「ドリブルをしているところに足が引っかかっちゃって。


本当にごめんね。神崎さん。大丈夫?」



美山さんは白々しく答える。



周りで見ていた子たちは、その異様な雰囲気に何も言えないでいた。



「立てるか?」



先生が心配そうに聞く。




「大丈夫です…。」



君は答えた。












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