*ハツコイの味*-空色のキミに-
トイレで静かに涙を処理してから出る。
トイレの少し先には真利ちゃんが待っていてくれた。




……時間かかっちゃったな……。
真利ちゃんに謝らなきゃ!




駆け足で真利ちゃんに近づく。
私が近づくと真利ちゃんはハッとしたように顔をあげた。




「もう、……遅いよ?」


フッと少し困ったように顔を歪める。
私ははにかんで謝る。




「えへへ……ごめんねっ!!」




いつもの、いつもの私に戻るんだ。
真利ちゃんはこんなにも気を遣ってくれてるんだから。




恋を知らない私に。
恋を知る前の……元の私に。





ーーー誰もいなくなった後の廊下には、1枚の落ち葉が落ちていた。

風に揺られてクルクルとその場を舞う。




何かを……、伝えるように。




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