指先からwas唇からlove【再公開】
隣の席から is


小学生の頃から数えて、4回目の転校となった中二、

ーー冬。


長崎は佐賀より暖かいって聞いたことあるけど
全然変わらない。

寒いのは寒い。


「あ、あれだ、三組の転校生」

「真っ白やな」

「ほっそーい」

「ちょい老けとらん?」



転校初日に浴びる好奇心丸出しの視線にも、もう慣れていた。




「はい、緒先、自分で自己紹介して」


「……」


先生が黒板に ″ 緒先 遥香″ と書く横で、私は
緊張感を出すこともなく、


「緒先遥香です。宜しくお願いします」



新しいクラスメート達の誰とも視線を合わさずに軽い挨拶だけを済ませた。


ここで無理したらあとがキツイってこと、

もう、わかってたから。









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