指先からwas唇からlove【再公開】
「……なんだ、せっかく授業に出るつもりだったのに、あっちかー……」


独り言のように話す海也は、席から立ち、私を置いて教室を出ていく。


「あ……」


待って。

だから、場所わかんないんだってば。

初めての校舎は、方向音痴の私にとっては迷路みたいなもの。

さっきだって、トイレからここへ戻るだけでもとても時間かかったんだ。


背の高い海也は、歩幅も広いからか、とにかく歩くのはやっ。

あっという間に三階まで駆け上がっていく。

途中、一年の女の子達が、彼を見て頬を赤くしてるのが印象的だった。




「あ……れ」


先を行く海也が行き着いた先は……、






「屋上?」



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