指先からwas唇からlove【再公開】
「サンドイッチ完売だって」
「ゲ、ハンバーガーもねぇ」
初めて立ち寄る購買部。
十数人の三年生と数人の二年生が並んでいて、その最後尾に並ぶ。
その中には海也もいた。
更に、
「あれー緒先さんじゃない?」
飯島先輩もいて、その友達が私に気がついてしまった。
「緒先さんもパンとか食べるんだ」
フッてから初めて顔を合わす。
気まずいのは私だけなのか、先輩は笑顔で近寄ってくる。
仕方ないので笑顔で返す。
「……はい、何でも食べますよ」
亜美ちゃんの話だと、飯島先輩は高校には行かなくて、どこかの工務店に就職し、見習いで仕事をするらしかった。
典型的なヤンキーのパターンかも。
「もうパン甘いのしか残ってないよ、これ、やろうか?」