指先からwas唇からlove【再公開】
次の授業に、海也は現れなかった。
六時間目が始まる前に、屋上に行ってみると、
やっぱり南京錠は開けられていた。
「海也くん、六時間目始まるよ」
梯子を登り、彼の特等席にお邪魔する。
海也は寝転がって、寒いのかジャージの上を羽織っていた。
「俺、向いてないかも」
「え、なにを」
起きていた海也は、私の方を振り返ってそして直ぐにまた空を眺めて出した。
「真面目に誰かと付き合ったり、授業に出たり」
それ、向き不向きじゃないよ。
「授業は義務教育だから」
「それは親の義務だろ?」
「……んー」
「なんか、カッコ悪いなーって」
後悔してるのかな?
私と約束したこと。
「私は嬉しかったよ、飯島先輩にも、渡辺くんとこにも向かおうとしてくれたこと」
重荷にはなりたくないけど、軽く見られたくもない。
いつの間にか、海也が私の手を握っていた。