指先からwas唇からlove【再公開】
「海也くんにずっと引け目を感じてたって、一ノ瀬くん言ってたよ」
何故、そんなこと感じていたのか、そこまでは話してくれなかったけど。
「何でそんなこと緒先に話すんだよ? アイツ」
「……だから、もう遠慮しないって、マラソン大会で優勝したら二人で会ってって言われた……」
その先は、海也の口から聞きたいと思った。
「なんだよ、それ」
海也は私の手を離すと、スッと起き上がり鋭い目で私を見た。
「で、お前なんつったの?」
「″考える″ って」
「……信じらんねぇ、浮気するかもしれないって話かよ?」
「そうじゃないって。一ノ瀬くんがマラソン大会を頑張れる糧になれるならって思っただけ」
会う、会わないは、それから答えてもいいはず。
そのための″考える″ だから。
「なんか、ムカつく」