指先からwas唇からlove【再公開】
マラソン大会当日。
快晴。
春みたいに暖かい日だった。
素人の私からするとそれが救いだったのだけど、
「暑くなるよなー、もう少し寒くて良かったのにさ」
一ノ瀬くんをはじめとする運動部の人にとっては太陽が邪魔のようだった。
「海也、いったいどうしたの??
マジで嵐くるからやめてー」
指のケガだって治ってないのに、海也はちゃんとジャージを着て参加している。
女子も男子も先生までも驚いてた。
「途中で抜けて悪さしたらまたやり直しだからな」
三年の飯島先輩たちに、生活指導の先生が勧告していた。
嫌いな人たちだけど、そういうとこ、先生の偏見だよね。
それにしても、全学年集まると凄い密集率だ。
その中で、まだ青のジャージの私は目立ってしまうのか、他の学年の子からもジロジロ見られた。
「緒先先輩! おはようございます!
今日もキレーですー!」
亜美ちゃんの挨拶一言多いよ、
私は、また、下を向いた。