指先からwas唇からlove【再公開】
「え、ちょ何サカってんの?」
「私らの前でおっ始めないでよ!」
深雪先輩たちは一応止めてはいるけど、その顔は高みの見物と言った感じで笑っていた。
「わはは、飯島、ここではマズイって!」
飯島の友達も煙草を吸いながら少し興奮してきた様子で近寄ってくる。
「え?ここ、俺ら以外誰かいんの?」
「いねーけどさっ!」
「だろ? 漁師はもういないしな」
飯島は、カタマって動けない私の体をギューっと抱き締めてきた。
「う、めっさいい匂いー」
言葉も息も行動も気持ち悪い。
なのに、大きな声が出てこない。
「……や、やめ……」
同じことされてるのに、どうして相手によってこうも感じ方が違うんだろ?
海也から抱き締められた時は、ドキドキして苦しいのに、
幸せだった。
「う、ヤバい、これだけで……」
飯島の息が荒くなってきて、髭の生え始めた口元が頬にチクチクと擦り付けられた。
それが耳元にくるとゾクッとするのに力は抜けていく。
「おーい、だれか飯島止めろよ」
「面白いから見てようよ」
更に強まった力のせいで、潰されそうな胸。
本当に痛い。
「初めて見た時から色っぽいなぁと思ってたんだよな」
湿った唇が顔を這い出して、
この時、
初めて、悲鳴に近い大声を上げた。