指先からwas唇からlove【再公開】
「急に声上げるなよっ!ビビんじゃん!」
私にキスしようとした飯島が、抱き締めていた手を離す。
その隙に逃げようとしたら、
「……あっ」
石にこびりついていた海藻?らしきものを踏んで、滑って倒れてしまう。
反射的に腕を伸ばしたつもりだった。
「あーあ、……いったそー」
「こんな足場の悪いところで走ろうとするからだよ」
……痛い。
かなり痛い。
なんで海なのに砂浜じゃないのよ?
手のひらも、顎も擦りむいてヒリヒリとする。
「天罰じゃ?三年ナメるから」
その私を、飯島じゃない柔らかな手が抱き上げる。
女子の手。
それでも深雪先輩の力はやはり凄い。
でも、その力は私を手助けしたかったわけじゃないみたいで、
「飯島、私らの代わりにシメちゃってよ。
バカなりにも一応進学するしさ、思い切り出来ないじゃん」
血と涙で汚れた私の顔を掴んで笑ってた。