指先からwas唇からlove【再公開】
そうだ。
家にまで、一ノ瀬が両親とともに謝りに来たっけ。
「あなたのせいじゃないのよ、元々無理をしていたせいもあるから」
母さんもそう言ってるのに、
すんげ顔色悪くてさ、学校じゃあんなに喋るのに、
″ごめんなさい″を繰り返すばかり。
「出来ること、なんでもするから」
泣いて、そんなこと言ってたっけ。
それまでは対等に張り合ったり遊んだりしてたのに、
いつも俺に気を使うようになって、正直つまんなかった。
つまらなさは、俺にちいさな孤独まで植え付ける。
リトルリーグの仲間とも会わずに、
それまであまり小学校の友達とも遊んでなかったから、放課後とか超暇になった。
「お前、どこ中?いつもこの辺ウロウロしてるけど」
元々、顔がフケていた俺は、街中では中学生に間違われてたし、自然と年上とばかり遊ぶようになっていた。
ちょーどその頃、
「隣の亜美ちゃん、不登校なんだって」
生野のいじめと、先天性の病気が判明したんだっけ。