指先からwas唇からlove【再公開】
「ア……スペるガー症……こう?」
生野の母さんと俺の母さんが家で話してるのを聞いた俺は、その病名に怖ささえ感じていたのだけど、
「時折、人間関係に行き詰まった時にカウンセリングを受けるだけでクスリ飲んだりはしないの」
親同士がそんな風に話していて、ほっとした。
隣の家の生野亜美は、たまにワガママだと感じることはあっても可愛い妹みたいな存在だったから。
「あの子、状況判断が出来ないし、他人の心に鈍感なのよ」
……そう言ってたけど、
『そうか?』
俺にはそうは思えなかった。
確かに超不器用で、同じことばかり繰り返すし、良く学校でも集団から外れて一人校庭にいるのを見かけたりしてたけど、
「野球しなくなって、うちとたくさん遊んでくれるようになったから嬉しいなぁ」
ストレートな生野亜美の言葉が、俺はキライじゃなかった。
不登校になっている間も、俺は頻繁に生野家に遊びに行っていたし、
アイツと俺は、同じ頃に孤独を味わった同士のような、切っても切れない繋がりがあったように思う。
「お前、生意気なんだよ?」
そして、中学。
飯島に早速呼び出された。