指先からwas唇からlove【再公開】
「ここが家庭科室、で、奥が理科室。美術室と、図書室は二階だから」
親切な顔を持った一ノ瀬くんは、行き着く迄にも色んな情報をくれた。
「……ありがと」
「隣のよしみ、何でも聞いて」
「……うん」
″なんでも″ ……
「緒先さん、見つけましたー♪」
「お、でかしたぞ一ノ瀬!」
「一ノ瀬くん、やっさしー♪」
理科室に私を連れてきたこの人はクラスの人気者。
私の中で、隣の席の彼のあだ名が確定。
″ He's an everybody's friend.″
八方美人。