指先からwas唇からlove【再公開】
他の中学の連中とも良く街をウロついてた俺は、自分の学校でも我が物で歩いていたし、皆が怖がる上級生に媚びたりはしてなかった。


「挨拶しろよっ、すれ違ったら」


「は」


なんで、部活の先輩でもないのに挨拶? 上級生には全員常に挨拶?
そんなの無理じゃね?



「は?じゃねぇ、俺らのテリトリーに無作法に立ち入るんじゃねぇ!」



使うトイレまで指摘してきやがる。



けして、ウンとも言わず謝ることのない俺は、

その場でボコボコにされてしまう。


その時も、

もう野球は出来ないのに、

体は自然と肩を庇っていた。







……本当にツマンナイ毎日だった。


キライな奴等に気を使う。

同級生には逆に気を使われ……。

女にはそこそこモテたけど、俺から好きになったりするような女子はどこにもいなかった。




それなのに、




「あの女、誰?」




< 130 / 287 >

この作品をシェア

pagetop