指先からwas唇からlove【再公開】
制服も違えば、ジャージも違う緒先。
女子の反感もわからなくもないけど、俺からすると見つけやすくて丁度良かった。
普段なら絶対サボるマラソン。
一ノ瀬にあとで突っ込まれたように、確かに俺は転校生の前でいい格好をしたかったんだと思う。
体力も全然落ちてるのに、一ノ瀬たちに付いていくのに必死になってた。
「緒先さんだ」
「走ってる姿もカワイイ」
他のクラスの奴がそう言ってるのを聞いてムカつくあたり、この時から俺は転校生を独占したい気持ちになってたんだ。
すれ違った時、緒先からめっちゃいい匂いがした。
それだけで、俺の足はまた元気に走り出すんだから、本当に好きになりかけてた。
抱き締めたら、ぜったいいい匂いがするんだろうなって、
想像しただけでアドレナリンが分泌されているように感じた。
「……ちょ、今日、どうしたの?」