指先からwas唇からlove【再公開】
「代わりにシメて言われてもなぁ」
飯島が、深雪先輩に掴まれた私の顔を見つめて困惑している。
「何よ、前、告って簡単にフラれたんでしょ、あんた」
「……俺は女に暴力ふるったことねーもん」
「良く言うよ。前にN中の女下校中に襲ってたじゃん」
「変な言い方すんなよ! ちょっと引っ張ってナンパしてただけ!」
擦りむいた顎も、手も、痛みを忘れてしまうほど体が冷えきっていた。
何をされる?
深雪先輩にビンタされたときはそこまで痛くはなかった。
彼女の憎悪がその時は亜美ちゃんに向けられていたからだ。
「海也がこいつと別れたくなるようにしてよ」
今は、それが全て私に向けられている。
深雪先輩は、背後から私を羽交い締めにして、
ジャージの上を間繰り上げてきた。
海風にさらされた皮膚に鳥肌が立っていくのが分かった。