指先からwas唇からlove【再公開】
皆が一斉に階段の方を振り向く。
「……おいっ!離せよっ!」
物凄い勢いでかけ降りてくる海也の足音が聞こえて、
″助かった″という思いと、
″なんで海也なの?″
また、巻き込んでしまった不安でいっぱいになった。
「ウエーい、カレシの登場~♪」
飯島は私から手を離すと、直ぐに海也の方へと向かって走り寄っていった。
そして、二人の殴り合いが始まってしまう。
「おいっ!海也、てめっ調子に乗んなよっ!」
殴り合いならまだ良かったけど、三年男子が皆加担しはじめて、
「海也くんっ!」
海也はあっという間にリンチ状態に。
乾いた石の上で、私の何十倍も酷い怪我を負って倒れてしまった。