指先からwas唇からlove【再公開】
結局、 マラソン大会の優勝は、陸上部のエースが勝ち取った。
海也をボコった飯島達は、そのあと十キロのマラソンをもう一度させられたようだった。
「傷害罪で訴えてもいいんだぞ」
生活指導の先生が、海也と私にそう言ったけど、
私たちはそうしなかった。
「もー、俺らに半径一メートル以内近づかないように言ってください」
トラブルの延長は懲り懲りだった。
これで私達の恋の障害は、なくなったように感じていたけれど、
ーー現実はそうじゃなかった。
大切な存在だからこそ、
時には重く感じるものがある。
「え……海也くんと緒先先輩って、付き合ってるの?」