指先からwas唇からlove【再公開】
「え」
突如横から声をかけられ、見ると海也が傘も差さずに立っていた。
「海也くん、傘ないの?」
「めんどくさくて持ってきてない」
「それなら、海也くんが遥香ちゃんの傘をもってあげなよ。身長差あるんだからさ」
槇ちゃんが振り返って指摘。
「わかってるよ」
海也が私の傘を持って、いたずらな笑顔を見せる。
本当にいつの間にか、さらに身長が伸びた海也。
180近くあるんじゃない?
私は156だから、かなりの身長差だ。
「……なんで透明の傘なんだよ? 隠れて色々出来ねーやん」
コソッとそんなこと言う海也の肩が、かなり濡れている。
「色々出来ないけど、もっと寄っていいよ。傘の意味ないから」
「付き合ってるって、バレるかな?」
「……うーん、どうだろ?男子は傘ない人多いからこれはアリなんじゃない?」
「だよな」
そう言うと海也は、傘を持つ腕で一瞬だけ私の
肩を抱いた。
ホントに一瞬だけ……。
「雨も悪くないな」
「うん……」
久しぶりに海也の体温、感じちゃった。